なぜ慢性化する?

痛みが出るメカニズムを知っていますか?
「なぜ痛みが出るのか」──これは医学的にも非常に重要なテーマです。
痛みは単なる感覚ではなく、神経・脊髄・脳が関わる複雑なシステムによって作られています。
1. 痛みの発生(侵害受容)
外傷や炎症が起こると、体内では プロスタグランジン・ブラジキニン・サイトカインなどの化学物質が放出されます。
これらは末梢神経の「侵害受容器」を刺激し、電気信号に変換されます。
※これが痛みの最初の一歩です。
2. 痛みの伝達(神経を通るルート)
生成された信号は、Aδ線維やC線維といった神経を通り脊髄へ。
そこでシナプスを介してサブスタンスP・グルタミン酸などの神経伝達物質が働き、脳へと信号を運びます。
3. 痛みの調整(増幅と抑制)
脊髄では「ゲートコントロール機構」が働き、痛みの信号が強まったり弱まったりします。
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さすると楽になるのは、触覚の入力がゲートを閉じるためです。
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逆に炎症や心理的ストレスがあると、信号が強調され痛みが増幅します。
4. 痛みの認識(脳での知覚)
最終的に信号は大脳皮質に届き、そこで「痛い」と認識されます。
ただし、痛みの感じ方は感情・記憶・注意に大きく左右されます。
同じ刺激でも「不安な時は強く感じる」「安心していると和らぐ」といった差が生じるのはこのためです。
5. 慢性化のメカニズム
本来、組織の修復とともに痛みは消えるはずです。
しかし、痛みが長引くと次の現象が起こります。
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末梢感作:神経末端が過敏になり、わずかな刺激でも反応。
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中枢感作:脊髄や脳での信号処理が過敏化し、痛みを「増幅」する状態。
これにより「治っているはずなのに痛い」という慢性痛が形成されます。
まとめ
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痛みは「末梢 → 脊髄 → 脳」の流れで生じる。
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信号は途中で増幅・抑制されるため、感じ方には個人差がある。
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長引く痛みは「神経や脳の過敏さ=中枢感作」が関与する。
当院では、こうした痛みのメカニズムに基づいた検査と施術を行っています。
「ただマッサージする」ではなく、神経・筋・内臓・自律神経の状態を見極めることが、慢性的な不調改善には不可欠です。